心房細動アブレーション治療後の再発について

心房細動のアブレーション治療を受けた後、1~2割の確率で再発があります。

症状の強さや患者さんの希望などにより2回目以降のアブレーション治療について検討していきます。ここでは、心房細動アブレーション治療後の再発について説明します。

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アブレーション治療後に不整脈を認めたら

治療後3ヶ月間の観察期間

心房細動アブレーション後には、一時的に心房性不整脈が出現する時期があります。その時期を過ぎる頃に不整脈の頻度が減少し、でなくなることもよくあります。

一般的には治療から3ヶ月間は観察期間としており、心房細動を認めても経過を見る方針になります。

ただし、対応が必要な不整脈(非常に脈が速い、症状が強いなど)の場合は、薬物療法の強化、対外式除細動や再度のアブレーション治療を選択することもあります。

治療から3ヶ月以降の再発

アブレーション治療から3ヶ月以降の不整脈の再発を認めた場合、以下のようなことに注意して治療方針を検討します。

どのように再発した?
  • 持続性心房細動で再発
  • 発作性心房細動で再発
  • 心房頻拍・心房粗動で再発

心房頻拍や心房粗動は心房細動に合併しやすい不整脈です。

アブレーション治療後に、心房細動にはならないけど心房頻拍・心房粗動が出現することがあります。

脳梗塞の予防

前回のアブレーション治療後に抗凝固薬が中止となっている場合があります。

心房細動による脳梗塞のリスクがあるようでしたら、抗凝固薬を再開します。

症状のコントロール

再発した不整脈による症状があるかどうかを判断します。症状があれば、レートコントロールやリズムコントロールを行います。基本的には再度のアブレーションをお勧めすることになります。

心房細動や心房頻拍・心房粗動で再発を認めた場合、治療の方針を決めます。一旦、振り出しに戻って心房細動の治療方針を見直します。

再発した不整脈のアブレーション

心房細動や心房頻拍・心房粗動の再発に対する、再度のアブレーション治療での考え方を解説します。

心房細動の発生について再確認

心房細動の発生・維持に関わるメカニズムとして、「トリガー」と「不整脈器質」があります。くわしくは心房細動のアブレーション治療でご確認ください。

心房細動発生のポイント
  • 心房細動が始まるきっかけは「トリガー」と呼ばれる異常な電気興奮
  • 「トリガー」は肺静脈から発生することが多い
  • 肺静脈と左心房との間の電気的交通を遮断する方法「肺静脈隔離術」が重要な治療方法
  • 「肺静脈隔離術」以外の治療も、状況に応じて追加することがある
前回の治療を振り返る

基本は肺静脈隔離術が行われている

心房細動に対する初回のアブレーション治療では、多くの患者さんで肺静脈隔離術が選択されているでしょう。

肺静脈隔離術以外には、不整脈器質に対する修飾や、肺静脈以外が起源の頻拍に対する治療が行われているかもしれません。

再発でよくあるパターンとアブレーション

不整脈の再発について、以下のような理由が考えられます。

心房細動アブレーション後の再発パターン
  • 隔離されたラインの一部が伝導している
  • 治療したところ以外から心房細動が出現している
  • 不整脈器質が残っている(心房頻拍・心房粗動の場合)

それぞれの状況で治療内容を見てみましょう。

隔離されたラインの一部が伝導している

隔離されたラインの一部で伝導が再開している場合

再伝導している場所を同定します。

薬剤などで負荷をかけて、再伝導している肺静脈から心房細動が出現することを確認します。

治療方針:再伝導しているところにアブレーションして、肺静脈隔離を完成させます

治療したところ以外から心房細動が出現している

肺静脈以外からのトリガーが発生した場合

薬剤などで負荷をかけて、心房細動を発生させます。トリガーの位置を捜索します。

不整脈器質が残っている(心房頻拍・心房粗動の場合)

特にリエントリー性不整脈として認める場合

心房に傷んでいるエリアがある場合、伝導の障害もあります。伝導障害があると、リエントリー性に不整脈が成立しやすくなります。

3次元マップを活用し、リエントリーしている回路を同定します。

治療方針:リエントリー回路を同定し、回路が成立しないようにアブレーションで伝導ブロックを作成します。

再度治療を受ける際も、アブレーション治療の流れや合併症は大きく変わりはありません。以下をご参照ください。

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