運動時のエネルギーの使われ方
運動した際に主に使用されるエネルギーは「糖質」と「脂質」です。体に蓄積されている糖質や脂質を使ってエネルギーとして使用します。
糖質は運動してすぐに使われる
糖質は血液中の「グルコース」と筋肉中の「グリコーゲン」として体内に存在します。非常に効率のよいエネルギーであり、運動を始めてすぐに使われます。
ただし、グリコーゲンは体に蓄積される量が決まっており、ある程度の時間が経過すると使い切ってしまいます。
短い強い運動に向いています。
脂質はゆっくり使われる
脂質は体脂肪として貯蔵されており、糖質よりも効率が悪くゆっくりと分解されてエネルギーに変わります。そのため、運動してすぐには使用できません。
運動して20分くらい経過すると徐々に脂質が分解されてエネルギーとして使用されるようになります。
時間として長い、強度の高くない運動で使用されます。
脂肪を減らしたい場合は強度の高くない運動をじっくり長めに行なった方が効果が高いことがわかります。
減量を目指す運動療法のポイント
カロリーの取りすぎて蓄積した脂肪をいかに減らすかがポイントなります。まずは食事療法で摂取エネルギーが消費エネルギーを下回るように調整することが大事です。
さらに運動療法で脂質をエネルギーとして使用することで、脂肪を分解し減量に役立ちます。
1. 目標を決める
まずは具体的な運動習慣の目標を決めましょう。例:1週間に3回、30分間のウォーキングをする など。
運動習慣を身につけることが一つ目の目標です。それができたら、徐々に負荷を上げていくように目標を見直していきます。時間を長くしたり、ウォーキングをジョギングにしたり。
以下の要素を確認しながら目標を決めましょう。
目標を決める時のポイント
- より具体的に:ウォーキング 30分、週3回
- 測定できる内容で:数字として表現できる内容
- 達成ができる範囲の:始めから無理な目標は立てない
- 目的に沿った目標を:どうなりたいかをイメージして
- 期限を決めて:いつまでには安定してできるようになりたいか
2. 複数の種類を組み合わせる
運動には以下のような種類があります。
- 有酸素運動
- 筋力トレーニング
- 柔軟運動
有酸素運動
心肺機能を高め、脂肪を燃焼させるための運動です。
具体的には、ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車などです。持続的に運動することで脂肪の燃焼を促します。
運動不足の方はウォーキングから始めましょう。時間はできれば20分以上。翌日に強い疲労感が残るようでしたら、やや負荷が強いかもしれません。少し時間を短くしてみましょう。疲労が残らなくなったら、負荷を増やします。時間を伸ばしたり、コースの途中に坂道を入れたりします。
少し息が上がるくらいの運動を30分間以上、週に3回以上できるようになると立派です。
筋力トレーニング
筋力を増やすことで、代謝が上がり、姿勢は良くなり、腰痛などが良くなったりします。
具体的には、スクワット、プランク、腕立て伏せ、ダンベルと使ったトレーニングなどです。
ジムなどでトレーナーに教えてもらいながら行なっても良いでしょう。
週に2〜3回が目安です。
高齢者も筋力トレーニング
高齢者はむしろしっかりと筋力をつける必要があります。筋力低下はふらつきや転倒の原因になります。
- 椅子を支えにスクワット
- かかと上げ
- 壁をつかって腕立て伏せ など
筋力トレーニングは無理をせず怪我のないように注意して行いましょう。痛みがある時は途中でも止めましょう。
柔軟運動
柔軟運動(ストレッチ)は、筋肉や関節の柔軟性を高め、ケガを予防し、運動後の疲労回復を促します。柔軟性が上がると、日常生活の動作がスムーズになります。姿勢の改善やリラックス効果も期待できます。
柔軟運動は静的ストレッチと動的ストレッチがあります。いずれも急に行うと怪我の原因になりますので、ある程度体が温まった状態で行うのが良いでしょう。
- 静的ストレッチ:ゆっくりと特的の場所を伸ばす方法です。20〜30くらい保持します。
- 動的ストレッチ:関節や筋肉をリズミカルに動かしながら可動範囲を広げていく方法です。
3. 生活に運動を取り入れる
ほとんど動いていない人は、まずはじっとしている時間を短くすることを意識しましょう。30分間同じ姿勢(ソファーに座ってテレビをみているなど)をとっていたら、一度立ち上がって足踏みをしたりします。
生活の一部に運動を組み込むと活動量が増えます。自動車通勤を公共交通機関に変えるだけで、歩数は大きく増えます。近くのコンビニは歩いていき、エレベーターは使わず階段をできるだけ使うなど。
少しでも消費するエネルギーを増やしましょう。
活動による消費カロリーの目安
運動の注意事項
無理をしない:運動療法で最も問題になるのは無理をしてケガをしたり、体調が悪くなることです。疲れすぎない程度に行うのが重要です。
筋トレは痛みのない範囲で:筋力トレーニングは「少しきつい」で行うことが理想ですが、やっている時に痛みが出る動作は避けましょう。
休みもとりいれる:理想を追い求めてトレーニングを続けていると、知らない間に疲労が蓄積していることがあります。疲労を感じたら休むことも、長く続ける上で重要になります。
ウォームアップとクールダウン:運動を始める前には軽いストレッチやウォームアップ、終わった後にクールダウンを行うと、ケガの予防になります。