ACE阻害薬:特徴と注意点

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特徴

ACE阻害薬は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の略です。ARBと同じように血圧を下げる効果以外に、心臓や腎臓に保護的に働く効果があります。腎障害の進行や心不全の進行を遅くする効果が認められます。

心臓の収縮機能が落ちている時に、進行抑制で使用されます。

薬の効果

血圧を下げる作用

ACE阻害薬はアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを阻害することでアンジオテンシンIIが作られるのを抑制します。

血管を収縮させる作用のあるアンジオテンシン II が減ることで、血圧上昇を防ぐ働きがあります。

血圧を下げる以外の良い作用

ACE阻害剤は、血圧を下げる作用以外にも以下のような効果があります。

  • 心臓に保護的に働く
  • 腎臓に保護的に働く
  • 糖尿病:インスリン感受性を改善する可能性

副作用

  • 低血圧:血圧が下がりすぎるとふらつきやめまいを自覚します
  • 高カリウム血症:尿へのカリウムが減って、血液中のカリウムが増えることがあります。カリウムが高くなりすぎると不整脈がでることがあります。血液検査にて評価します。
  • 腎機能低下:薬の作用で腎機能が低下することがあります。軽度の低下は様子を見ますが、高度な低下があると中止されます。特に高齢者や腎機能低下がある方は血液検査で副作用の評価が行われます。
  • 血管浮腫:急にまぶたや唇が腫れることがあります。のどが腫れると呼吸困難になります。DPP-4阻害薬との併用で増加する可能性があります。
  • 空咳(からぜき):2〜3割の方に空咳が見られます。ひどい場合は休薬します。

注意事項

めまいやふらつきを自覚する場合は、症状がある時の血圧を測ってみましょう。血圧が下がり過ぎている場合は、薬を減らしたりやめたりします。主治医に相談しましょう。

腎機能低下やカリウム値の上昇を調べるために血液検査が行われます。高度腎機能低下や高カリウム血症がある場合は、処方されません。

血管浮腫がひどくなると呼吸困難になります。まぶたや唇が腫れた場合は、すぐに内服中止します。特にDPP-4阻害薬との併用時は注意が必要です。

血圧のコントロールの際に、ARB、ARNI、直接レニン阻害剤とは併用すべきではありません。

妊婦には処方できません。

ACE阻害薬の一覧

ACE阻害薬の一部です

一般名商品名適応用法・用量
イミダプリルタナトリル・高血圧
・1型糖尿病に伴う腎症
1日1回、5~10mg
腎機能低下では、2.5mgから
リシノプリルロンゲス、ゼストリル・高血圧
・心不全
1日1回、10~20mg
腎機能低下では、5mgから
エナラプリルレニベース・高血圧
・心不全
1日1回、5~10mg
腎機能低下では、2.5mgから
デモカプリルエースコール・高血圧1日1回、2~4mg
1mgから開始
ペリンドプリルコバシル・高血圧1日1回、2~4mg
(1日最大量は8mg)
デラプリルアデカット・高血圧1日2回、1回 15~30mg
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