糖尿病には多くの合併症がありますが、糖尿病が原因で大きく生活の質が低下する問題の一つが足の壊疽です。足が腐ってしまい切断を余儀なくされることがあります。
なぜ糖尿病で足を失うのか、足を守る方法について説明します。足を管理して、足病変を早期発見することをフットケアと言います。
しっかりとフットケアをして足の切断を免れましょう!
糖尿病で足を失う!?
糖尿病の合併症して思いつくのは、腎不全で透析になったり網膜症で失明することを思いつく方が多いでしょう。しかし、足を失うというのも糖尿病の合併症の一つです。
なぜ糖尿病で足を失ってしまうのか
足の壊疽は、足の組織が壊死した状態です。
放っておくと感染が全身に回って、命に関わるため切断せざるを得なくなります。
足の壊疽が起こってしまい、ひどくなっていくには以下のようなことが原因となっています。
- 糖尿病性神経症で足の感覚がない
足の感覚がないため、ぶつけて怪我をしていたり、やけどをしていても痛みはありません。しかも炎症がひどくなっても痛くないため、知らないうち感染が広くなっていきます。
- 足の血行が悪い
糖尿病による動脈硬化で足の血行が悪いと怪我ややけどが治りにくくなります。通常はからだが反応して修復していきますが、血行が悪いと修復できません。
さらに動脈硬化が進むと血行が途絶えてしまいます。血液が来ないと足の組織は壊死してしまいます。ミイラのように黒くなっていきます。
- 感染しやすい
血糖値が高い状態だと感染症にかかりやすく、治りにくくなります。感染が広がるスピードも速いため、重症化してきます。
救命のために足を切断する
足の壊疽が激しく、感染の兆候が強いと回復する可能性が低くなります。放っておくと増加した細菌がどんどん広がっていき、血液にのって全身に散布されます。
全身のいろいろな場所で炎症が増悪してしまいます。そうなる前に感染した部分を取り除く必要があり、その方法は足の切断です。
糖尿病による足壊疽は切断場所が難しい
足を切断せざるを得なくなった場合に、どのくらい足を残して切断するかも重要です。
被害を最小限にしようとするとできるだけ先の方で足を切断します。指だけの場合もあるでしょう。しかし、切断した場所の血行が悪ければ、切断面の傷がくっつかずにそこで感染してしまうこともあります。
足壊疽の原因となりうる動脈硬化を同定し、可能であれば血管内治療やバイパス手術で血流を回復させます。
血行を良くすることで、切断するラインができるだけ末梢になるようにします。
足の機能をできるだけ温存する治療が選択されます。
足を守ろう
感覚が悪く、血行が悪い足になってしまったら、足を守るような行動が勧められます。足壊疽にならないようにしましょう。
足に怪我を負わない
まず大切なことは、足に怪我をしないことです。非常に小さな、ちょっとした傷から足壊疽は始まります。いかに足に傷を負わないか、日常生活から気をつけましょう。
靴下をいつも履く。家の中でも。
知らないうちに何かを踏んだり、どこかにぶつけたりして足の裏や指先などに傷ができるのを防ぎます。
家の中でもいつも靴下を履くようにしましょう。
大きすぎず、小さすぎず、通気性がよいものを選びましょう。
履きっぱなしを勧めていますが、できるだけ毎日履き替えて清潔にしましょう。お風呂上がりなどで足が濡れている状態で靴下を履くと、ふやけて皮膚がもろくなることがあります。指の間もしっかり乾かしてから靴下を履きましょう。
靴にも注意を。
靴の中に小さい石などが入っていても、感覚が鈍いと気がつきません。そのまま歩いていていると足の裏に傷ができます。靴を履く前に、中を確認しましょう。
また、靴が選ぶのにも注意が必要です。足を優しく包み込む通気の良い靴を選び、足がきつくないサイズを選びます。足に合っていない革靴などは靴ずれができやすく感染のリスクになります。
サンダルも怪我のリスクになります。
足にやけどを負わない
足の怪我に続いて気をつけたいのがやけどです。
暖房器具の近くは注意
ヒーターなどに近づきすぎたり、長い間近くにいることを控えましょう。知らないうちに皮膚の温度が上がってやけどができているかもしれません。焚き火なども中止しましょう。
また、低温やけどにも注意が必要です。
こたつや電気アンカ、電気毛布などを長時間使っていると低温でもやけどができることが知られています。
使うときは設定の温度を低めにしたり、タイマーがあれば活用しましょう。
真夏に裸足で外を歩かない
海水浴や屋外のプールに行ったときは注意しましょう。夏の砂浜やプールサイドはかなりの高温になっています。通常なら裸足では熱くて歩けませんが、感覚が鈍くなっていると気がつきません。足の裏にやけどを負ってしまします。
足のセルフケア
足をきれいに保とう
足を指の間までしっかりと観察し、きれいに洗いましょう。洗うときは手で洗う方が良いでしょう。
爪の切り方に注意
爪は上から見て直線になるように切ります。長すぎないよう、逆に深爪にもならないように注意しましょう。
足の爪切りは重要です。良い爪切りを使いましょう。特に刃の形状が直線的なものが良いようです。
巻き爪がある場合は、自分で無理をすると傷を作る原因になります。皮膚科などの巻き爪を扱っている医療機関で診てみらいましょう。
保湿をしよう
皮膚の乾燥はひび割れができたりして、傷ができる原因になります。お風呂上がりにしっかりと水分を拭き取り、保湿クリームを塗りましょう。
毎日足のチェックを!
足を毎日観察して、小さな変化を早期発見
しっかりと気をつけていても、うっかり怪我をすることもあるでしょう。足のトラブルは放っておくと重大な問題になることがあります。
早期発見して、すぐに対応することが大事です。
足をしっかりと見つめましょう
足の表も裏も、指の間までくまなく観察します。足の裏が見にくい場合は、周囲の人に見てもらいます。
足のチェック項目
- 爪が伸びすぎていないか。爪の周りが赤くなったり、黒くなったりしていないか。
- 明らかな怪我ややけどがないか
- 肌の乾燥やひび割れがないか
- 指の間に水虫ができていないか
- 足の裏などにウオノメやタコができていないか
足の変化を見つけたら、すぐに受診しましょう
もし怪我ややけどを発見したら、かかりつけの医療機関に相談しましょう。
巻き爪やウオノメ、タコを自分で処置するのはやめましょう。