血圧は一日中変動しています。診察室などは緊張感もあり、血圧が高めに表示されることもあります(白衣高血圧)。また、血圧の治療をしていても治療が十分であるか、または治療が効きすぎてはいないか、検証する必要があります。
血圧については、家庭血圧による自己管理(セルフモニタリング)が基本になります。家庭血圧の測定するタイミングや測定の仕方について説明します。
家庭血圧測定のタイミング
家庭血圧は 朝と夜の1日2回 測定するようにしましょう。
朝に血圧を測定する理由は、早朝高血圧がないか評価するために重要です。他の時間が良くても朝の血圧が高い場合は、治療を強化する必要があります。
また、可能であれば夜または夕方に測定しましょう。1日の変動を確認することができます。ただし、日中の活動量やストレスなどの影響で夕方や夜の血圧は日によって変動します。一喜一憂せずに前後数日の平均で高いか低いか確認しましょう。
- 朝の測定タイミング
- 起床から1時間以内
- 排尿後:トイレをがまんしていると血圧が上がる
- 食前・服用前:食事の内容で血圧に影響がでることがある
- 1−2分間の安静後
- 夜の測定タイミング
- 寝る前
- 1−2分間の安静後
家庭血圧を測る
家庭血圧の測り方
血圧はささいなことで影響を受けます。いつも同じ条件で図ることが必要です。
【血圧測定で気をつけたいこと】
- 静かで過ごしやすい室内で測りましょう
- イスに腰掛け、カフの高さと心臓の高さをあわせましょう
- しゃべらずにリラックスし、体の力を抜きましょう
- 1〜2分間してから、血圧測定ボタンを押しましょう
- まずは2 回測ってみて値が不安定ならもう一度測りましょう。
測った血圧値を記録しよう
せっかく測った血圧は記録に残しましょう。
測定した時間と血圧の値をメモ帳などに記録しても良いですし、血圧手帳という専用のノートに記載しても良いでしょう。グラフ形式で記録すると、血圧の変動がパッと見て判断できるので便利です。
最近では、スマートフォンのアプリで血圧を記録することもできます。血圧計の機能によってはスマートフォンと連動し、自動で記録されるものもあります。
記録を残せば、自分の血圧が変動していることもわかりますし、どういう時に一過性にあがりやすいかなどが理解できるようになります。
家庭血圧の心構え
一喜一憂しすぎない!
血圧を測っていると132とか148とか数字が表示されます。その数字をみて怖くなることもあるでしょう。血圧はその日の体調で変動しています。毎日血圧を測定していて、急に今日は血圧が高くても慌てなくても大丈夫です。
心配事や緊張などで一時的に血圧が上がっているのかもしれません。
症状がなければ、横に寝て30分くらい安静にしてみましょう。深呼吸して落ち着きましょう。少し寝てしまってもいいかもしれません。30分くらいしたらもう一度測定してみましょう。
逆に心配が強い方は、血圧が正常の値だと「そんなはずはない」といって興奮して測り直す方もいます。興奮すると血圧が上がります。そして、「やっぱり高い」と納得してしまいます。気持ちを落ち着けて、表示される数値を客観的に記録しましょう。
一日中測定しない!
血圧計は、血圧を簡便に測定できる便利な機械です。心配性の方は、血圧が上がっていないか心配で一日中腕に血圧計のカフを巻いている方もいます。
むしろ血圧のことが心配で血圧が上がってしまうという逆転現象が起きてしまいます。
血圧は大まかに観察しましょう。何度も測らなくて大丈夫です。心配でしょうが、1日2回測定して主治医に相談しましょう。
血圧コントロールの目的を知りましょう
高血圧で治療されている場合、目の前の数字に振り回されるでしょう。しかし、医療者からしたら大事なことは高血圧による将来的に起こる可能性のある合併症を減らすことです。
もし血圧のコントロールが悪ければ、原因を探して治療を強化していきます。
今日の血圧が、140でも135でも大差ありません。長い時間を経て問題になります。ゆっくりとあなたにあった治療を探して、実行していきましょう。
高血圧治療の目標は、高血圧による合併症を減らすことです。