失神や一過性意識消失を来すような不整脈がある場合、自動車運転中に症状がでると非常に大きな事故を引き起こす可能性があります。
不整脈による症状を予防するために植込み型心臓デバイスが植え込まれるわけですが、植込み手術後の自動車運転に関しては、道路交通法で決まりがあります。それぞれの機種について解説します。
ペースメーカーと自動車運転
ペースメーカーは自動車運転可能
ペースメーカーの適応となる疾患は、徐脈性不整脈であり失神の原因となりえます。ペースメーカーが植え込まれ正常に作動していれば、失神の可能性が低いと言えます。
基本的には、ペースメーカー(両室ペーシングを含む)植込み後の自動車運転に制限はありません。
ただし、ペースメーカー植込み後で状態が安定するまで1ヶ月くらいはできるだけ運転は控えた方が良いかもしれません。主治医に相談しましょう。
職業としての運転について
ペースメーカー植込み後の職業運転(タクシーやバスの運転手、運送業など)については、採用されている企業に問い合わせましょう。
航空機のパイロットは、航空身体検査マニュアルに沿うと不適合に該当します。鉄道の運転士も運転できないようです。
植込み型除細動器と自動車運転
ICD・CRT-D植込み後の自動車運転は原則禁止
心室不整脈を治療するための植込み型除細動器機能を持つ機種(植込み型除細動器 ICD、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器 CRT-D)が植え込まれている場合、車両を運転することは自分自身や他の人にリスクをもたらす可能性があります。
ICD・CRT-D植込み後でも許可があれば自動車運転は可能
ただし、心室性不整脈やICD治療の状況により、「運転を控えるべきとはいえない」旨の診断書を公安委員会に提出することで自動車運転が許可されます。
この許可は6ヶ月間のみ有効であり、6ヶ月ごとに再提出する必要があります。
また、診断書を作成する上で以下の表を参考にします。運転が許可されていても、ICDが作動したらその時点から自動車運転は禁止です。3ヶ月後に再認定です。
ただし、運転中に不整脈が発生するリスクを下げるため、できるだけ運転をする時間は短くしたり、長距離運転は控えるなどの工夫も必要です。
新規植込み(一次予防) | 7日 |
新規植込み(二次予防) | 6ヶ月 |
ICDの適切な作動 | 3ヶ月 |
ICDの不適切な作動 | 意識障害がなければ制限なし |
ICD電池交換 | 7日 |
リード交換 | 7日 |
用語の説明
- 一次予防:心室性不整脈の既往はないが、今後発生するリスクが高いと判断されている
- 二次予防:心室性不整脈の既往がある
- 適切な作動:心室性不整脈が出現し、ICDが正常に治療を行った場合
- 不適切な作動:心室性不整脈は起こっていないが、ICDが不整脈と誤認識して作動した場合
意識がなくなったり、意識が遠くなるような心室性不整脈の既往がある患者さんは、自動車運転は禁止されています。
そのため、そのような患者さんはICDを植込み、適切な治療を受け、制限期間を過ぎたら運転が許可されます。
逆に言うと、ICDを植え込まなければ、いつまでも自動車運転は禁止です。
職業としての運転は認められない
ICDおよびCRT-D植込み患者さんの職業運転および第2種運転免許は認めれていません。
「ICDやCRT-Dが植え込まれている=危険な不整脈が発生するリスクがある」と考えられます。多くの命が関わるような運転は禁止されています。