悪玉!LDLコレステロールが健康に与える影響

脂質は重要な栄養素ですが、脂質が高くなると生活習慣病を引き起こします。脂質の値が異常になった状態を脂質異常症といいます

脂質異常症の中でも、LDLコレステロールは悪玉と呼ばれます。LDLコレステロールが高くなる原因と問題点について説明します。

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高LDLコレステロール血症の定義は 140 mg/dl 以上

高LDLコレステロール血症の定義

LDLコレステロール 140 mg/dl 以上

LDLコレステロールの値に気づくきっかけは、健康診断などの血液検査で指摘されることが多いでしょう。

リポタンパク質の一つであるLDLは、内部にコレステロールを主に含んでいます。LDLに含まれるコレステロール(LDLコレステロール)を測定することで、体の中にコレステロールが過剰な状態であるかを推定することができます。

LDLコレステロールが140mg/dl以上で、高LDLコレステロール血症と診断され生活指導や薬物治療の介入が必要となります。

LDLコレステロールが120〜139mg/dlの場合は「境界型」であり、予備軍として十分な管理が必要です。

LDLコレステロールが悪玉と呼ばれる理由

血液中のコレステロールが上昇しても自覚症状はありません

そのため、LDLコレステロールが高いのも関わらず気づいてなかったり、治療の必要性を感じないこともあるでしょう。

LDLコレステロールは動脈硬化を強く進める

「LDLコレステロール」が高い状態が続くと動脈硬化が進みます。

狭心症・心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、日常生活が制限されるようになります。場合によっては、命にかかわる問題が生じます。

そのため、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれています。

動脈硬化とLDLコレステロールの関係

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正常の動脈

動脈硬化がない(プラークがない)状態では、血流の制限はありません。

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動脈硬化が発生し、血流が制限

過剰なLDLコレステロールにより、動脈の壁にコレステロールが蓄積します。これをプラークと呼びます。

プラークがどんどん大きくなり、血流が制限されるようになります。

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動脈硬化の進行による血流の途絶

さらに、プラークが蓄積すると自壊して血管内に飛び出してきます。飛び出したプラークをきっかけに血の塊(血栓)ができます。

血栓により完全に血流が途絶えてしまうと、組織が壊れていきます。

血流が途絶えて、組織が壊死することを梗塞と言います。

動脈硬化の進行による主な病気

どこの血管に動脈硬化が起こるかで、以下のような疾患が合併症として生じます。

  • 冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞):胸が痛くなったり、心臓の働きが落ちます
  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血):麻痺が残ったり、話せなくなったりします
  • 末梢動脈疾患:歩くと足が痛くなったり、足先が壊死したりします

冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓は冠動脈と呼ばれる血管から栄養を供給されます。

この冠動脈に動脈硬化で進行していき、血流が低下した状態を狭心症と言います。

さらに、血流が途絶えて心臓の筋肉が壊死していく状態が心筋梗塞です。

  • 狭心症:冠動脈の血流が低下している状態。運動などで心臓の作業量が増えたときに十分な酸素が届かないため心臓の筋肉は酸欠状態になります。
  • 心筋梗塞:冠動脈の血流が途絶えて心筋が壊死します。心臓の働きは低下し改善しません。壊死した範囲が広いと、危険な不整脈がでたり、心不全を繰り返すことがあります。

脳梗塞

脳を栄養する血管が動脈硬化により閉塞すると、脳の一部が壊死します。

脳のどの部分が障害を受けるかで症状が異なりますが、多くの場合で麻痺として症状がでます。

梗塞の範囲で麻痺が生じる範囲も変わります。

脳梗塞が発生してすぐに治療が行われると、麻痺は改善することがあります。時間が経つと麻痺は回復せず、機能が低下した状態になります。

麻痺以外にも認知機能の低下、記憶障害、性格の変化、抑うつ気分や失語のような脳梗塞の症状があります。

末梢動脈疾患

動脈硬化が足へ栄養を供給する動脈に生じた場合に、足への血流低下で痛みや痺れが発生します。

歩いたりすると必要な酸素が届かずに、痛みや痺れがでて立ち止まります。しばらくすると症状が改善してまた歩けるようになります。これを間歇性跛行といいます。

動脈硬化がさらに進行すると、安静にしていていても痛みがでるようになったり、血流が途絶して足が壊死したりします。

LDLコレステロールが高くなる生活習慣は?

脂質異常症は、食事の影響、肥満、運動不足、喫煙、アルコール、ストレスなどが関係しているといわれています。一部では遺伝的要素もあります。

良くない食事

血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪など)は、食べたものが消化・吸収されて取り込まれることで合成されていきます。

そのため、食事の内容が強く脂質異常症に影響を与えています。

特に飽和脂肪酸が多い食事はLDLコレステロールが増えやすいことがわかっています。

他にはトランス脂肪酸も関与していると言われています。

飽和脂肪酸が多い食品は良くない

以下に飽和脂肪酸が多い食品を示します。できるだけ肉を控えた方がよい理由がここにあります。タンパク質は魚や大豆などで摂取しましょう。

飽和脂肪酸が多い食品
  • 肉の脂身(牛脂、鶏の皮、ミンチ、ラードなど)
  • 乳製品(バター、生クリームなど)
  • ココナッツオイル(やし油)やパーム油

トランス脂肪酸も良くない

トランス脂肪酸はあまり聞きなれない言葉だと思います。以下のような食品に注意しましょう。ケーキやドーナツなど習慣的に食べると良くないでしょう。

トランス脂肪酸が多い食品
  • マーガリン
  • ファストスプレッド
  • ショートニング

上記を原料として作られる洋菓子(ケーキ)や揚げ物(ドーナツ)など

トランス脂肪酸:常温液体の不飽和脂肪酸は酸化すると劣化しやすいため、水素付加を行なって劣化しにくく常温で個体の飽和脂肪酸へ変換する。その際に、飽和脂肪酸に変われなかった一部の不飽和脂肪酸がトランス脂肪酸となります。

食事に含まれコレステロールの影響は?

多くコレステロールが含まれる食品(鶏卵の黄身や魚卵など)の摂取もLDLコレステロール上昇に関与している可能性はありますが、飽和脂肪酸による影響に比べると小さいと考えられています。

食事以外のライフスタイルの影響

LDLコレステロールは食事以外のライフスタイルにも影響を受けます。

  • 喫煙:喫煙習慣はLDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロール(善玉)を低下させます。
  • アルコール習慣:アルコールを飲みすぎると、総コレステロールが上昇すると言われています。
  • 運動不足:有酸素運動はコレステロールのバランスを改善させます。運動不足はHDLコレステロールを低下させます。
  • 過剰なストレス:強いストレスのさらされると、ホルモンの影響でコレステロールが増えます。

一部では遺伝的にコレステロールが上昇する場合があります。家族性高コレステロール血症と呼ばれます。

LDLコレステロールを管理しよう

LDLコレステロールが高くても自覚症状はないため、日常生活に支障がありません。生活習慣病は長い時間をかけて、ゆっくりと体を蝕みます。

健康的な状態を維持するために、「高LDLコレステロール血症」に向き合ってしっかりと管理をする必要があります。

しっかりとライフスタイルを見直し、次に控えている他の病気を表に出さない努力が求められます。

LDLコレステロールの治療についてはこちら

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