できるだけ体を動かそう:適切な運動量は?

運動は健康寿命を伸ばすために非常に重要な要素です。運動をすることで筋肉や骨密度を維持し、心臓病や糖尿病などの慢性疾患を予防することができます。

このページは、WHOが提言したWHO guidelines on physical activity and sedentary behaviourを参考に作成してします。

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体を動かすことの意味は?

体を動かすことの目的は、健康増進につながることです。具体的には、以下のような効果が期待されます。

身体活動(運動)の効果
  1. 心肺機能の改善:有酸素運動を行うことで、心臓と肺の機能が向上します。
  2. 筋力の向上:筋力トレーニングを行うことで、筋肉の質が向上し、骨密度が増加するため、骨粗鬆症の予防にもつながります。
  3. 体脂肪の減少:適度な運動を行うことで、体脂肪率が減少し、メタボリックシンドロームの予防につながります。
  4. ストレスの軽減:運動によって、気分の改善やストレスの軽減につながります。
  5. 免疫力の向上:適度な運動は、免疫力を向上させ、感染症の予防に役立ちます。
  6. 睡眠の質の向上:運動によって、身体が疲れるため、睡眠の質が向上します。

このような効果によって、運動をすることで健康寿命の延伸が期待されます。また、有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく行うことも重要です。

WHOのガイドラインでは、何もしないより少しでも身体的活動をするように推奨しています。厚生労働省も「いつでもどこでもプラス10」という活動を推進していて、まずは1日10分から体を動かすように呼びかけています。

運動習慣がない場合はどうしたら?

まずは歩いてみよう

いきなり運動習慣がないのに、運動してくださいと言われても困ると思います。まずは“じっとせずに体を動かしましょう”というのが一歩目の目標です。

まず始めるならウォーキングが良いでしょう。運動習慣がない方は歩く場所は、まずは平地を歩いてみてください。10分間歩いて、10分間かけて戻ってきます。途中できつさを感じたら、ベンチなどを見つけて休みましょう。

慣れてきたら歩く時間を長くしてみます。そして、坂道や階段を少しずつ取り入れて、足、体への負担を増やしていきます。体に適度な負担をかけることが健康な状態を維持するのに必要です。

他にも以下のような行動を例にして、自分なりの習慣を見つけましょう。

  • 1日1回、近くの公園を1周歩いてみる
  • 自動車で行っていた近所への買い物を歩いて行ってみる
  • 自動車通勤だったが、公共交通機関を使って行ってみる(歩く、自転車などの時間が増える)

軽くでいいから筋トレも取り入れよう

そして、歩く距離や時間が伸びてきて自信がついてきたら、筋力トレーニングも取り入れて歩行で使用する筋肉以外の場所も刺激していきましょう。

スクワットをすると太ももの筋肉がついて、転びにくくなったり階段を上がる時も楽になります。プランクなどで体幹を鍛えると姿勢が良くなり腰が曲がりにくくなります。

上半身の筋肉も落ちないように、水の入ったペットボトル(500mlから)を使って筋肉を刺激しましょう。

健康状態や生活環境などにより適切な運動の強度や頻度などは個人差があります。WHOから提唱されている年代別の適切な運動量についてみてみましょう。

WHO推奨の身体活動は?

身体活動には、有酸素運動筋力トレーニングマルチコンポーネント運動に分けて推奨があります。

有酸素運動

有酸素運動とは長時間継続する運動で、主に心肺機能の向上や脂肪燃焼効果が期待されます。代表的な有酸素運動として、ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスエクササイズなどがあります。

推奨される有酸素運動の強度と頻度は以下のようになっています。

推奨される有酸素運動の強度と頻度
  • 中くらいの強度の有酸素運動を週に150分 または 高強度の有酸素運動を週に75分

具体的に中くらいの強度、高強度の有酸素はどんな運動なのでしょうか。

中くらいの強度の運動:週に150分間

中程度の運動では、心拍数が上がり、呼吸はやや速くなり、体が暖かく感じます。適度な状態では、話すことができますが歌うことはできないくらいの呼吸になります。

  • 速めのウォーキング
  • ウォーターエアロビクス
  • 自転車に乗る
  • ダンス
  • ダブルステニス
  • ハイキング
高強度の運動:週に75分

高強度の運動では、呼吸が激しく速くなります。このレベルでは、息を止めずに話し続けることができません。

  • ランニング
  • 水泳
  • 自転車を早く漕ぐ、丘をのぼる
  • 階段を上る
  • サッカー、ラグビー、ネットボール、ホッケーなどのスポーツ

筋力トレーニング

すべての主要筋群を使って、中くらいの強度以上の強度で筋力を強化することが勧められます。

【増強したい主要な筋肉】

  • 大腿四頭筋(ふとももの筋肉)
  • 腹筋や背筋
  • 大胸筋
  • 三角筋(肩の筋肉)
  • 上腕二頭筋(二の腕の筋肉)

少なくとも週に2日間は筋力トレーニングを取りいれましょう。

マルチコンポーネント身体活動

マルチコンポーネント身体活動では、有酸素運動や筋力トレーニングのほか、身体のふらつきを防ぎ、バランスを維持するための動作を組み合わせた運動です。

以下のような運動を順番に行い、繰り返す運動です。

  • 数分間歩く
  • ボールを握る
  • 水の入ったボトルを持ち上げる
  • 椅子に座って足を上げる
  • 椅子から立ち上がる
  • 線の上を歩く
  • 上半身を伸ばす
  • 階段を昇降する
  • 後ろ向きに歩く
  • 机に手を置いて、軽くスクワットする

健康状態や生活環境などにより適切な運動の強度や頻度などは個人差があります。WHOから提唱されている年代別の適切な運動量についてみてみましょう。

高齢者(65歳以上)こそ運動を!

高齢者では、体を動かす習慣を作ることで以下のような効果が期待されます。

  • 総死亡率や心血管系疾患による死亡率の低下
  • 高血圧やがん、2型糖尿病の発症の予防
  • メンタルヘルス(不安やうつ症状の軽減)や認知的健康
  • 睡眠の向上
  • 肥満の改善
  • 転倒や転倒に関連したケガの予防
  • 骨密度の上昇と骨折の予防

このように多くの有益な効果が期待されるため、全ての高齢者において運動の習慣が推奨されます

有酸素運動:中くらいの強度の有酸素運動を少なくとも週に150〜300分 または 高強度の有酸素運動を少なくとも週に75〜150分 またはそれらの組み合わせ

筋力トレーニング:週に2日以上

マルチコンポーネント身体活動:少なくとも週に3日

さらなる健康のためには

1週間で、中くらいの強度の有酸素運動をを300分以上 または 高強度の有酸素運動を150分以上 または 中くらいの強度と高強度の身体活動の組み合わせによる同等の身体活動を行うことで、さらなる健康増進効果を得られる可能性がある。

まずできることは

座りっぱなしの時間を減らし、どんなことでも良いので体を動かすようにしましょう。

心肺機能があがり、筋力も増えてきたら徐々に負荷を上げ、推奨される運動量まで上げていくことを目標にしましょう。

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