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特徴
交感神経のアドレナリン受容体のうち、α1受容体を阻害する薬です。血圧の収縮を抑えることで降圧効果を得ます。
α1受容体は尿道や前立腺にも分布されており、α1受容体を阻害すると前立腺肥大などに対して排尿機能が改善することがあります。
血圧を上げるホルモンを過量に分泌する褐色細胞腫という病気に使用されます。
血圧を下げる作用

交感神経のα経路をブロックします。α経路は血管に分布しており、この経路をブロックすることで血管が拡張し血圧が下がります。
激しい運動や精神的な緊張状態になると、交感神経系という全身を調整するシステムの一つが活発になります。交感神経が興奮すると、副腎(腎臓の上にある臓器)からアドレナリンというホルモンが分泌されます。
アドレナリンは全身の臓器を刺激しますが、その際にいくつかの種類の受容体に結合することで刺激を伝えます。その受容体は、α受容体とβ受容体があります。さらに、α受容体はα1受容体、α2受容体に分類され、β受容体はβ1受容体、β2受容体、β3受容体に分類されます。それぞれ違った働きに関わっています。
アドレナリンが作用する受容体と効果
- α1受容体:血管収縮、瞳孔散大など
- α2受容体:血管拡張、血小板凝集、脂肪分解抑制など
- β1受容体:主に心臓に存在。心臓の収縮力を上げる。心臓の電気伝導速度を上げる。自動能を上げる。
- β2受容体:気管支の弛緩、血管拡張
- β3受容体:脂肪分解など
簡単にアドレナリンの働きをまとめると、「血圧を上げ(α1)、心臓の収縮を強くし(β1)、脈拍を増やし(β1)、気管支を広げて息を吸いやすくする(β2)」と言えるでしょう。
α1遮断薬はアドレナリンがα1受容体に結合するのをブロックします。血管の収縮を抑えることで降圧効果を効果します。
副作用
- 起立性低血圧:血管の機能を低下させることがあり、起立性低血圧(急に立ったりした際に、血圧が下がってふらっとしたり失神したりする)を引き起こすことがあります。
- かすみ目:非常に稀。瞳孔が開きにくくなり、ピントが合いにくくなることがあります。
- 頻尿・尿失禁:非常に稀。尿道や前立腺を弛緩することで、頻尿は尿失禁が起こることがある。
注意事項
めまいやふらつきを自覚する場合は、症状がある時の血圧を測ってみましょう。血圧が下がり過ぎている場合は、薬を減らしたりやめたりします。主治医に相談しましょう。
起立性低血圧に注意して、少量から処方されます。特に高齢者は注意が必要です。
α1遮断薬の一覧
一般名 | 商品名 | 特徴 | 用法・用量 |
---|---|---|---|
ドキサゾシン | カルデナリン | 高血圧 褐色細胞腫 | 1日1回、1回 0.5mgから (1日 4 mgまで) |
ウラピジル | エブランチル | 高血圧 前立腺肥大 褐色細胞腫 神経因性膀胱 | 高血圧に対して 1日2回、1回 15mgから (1日 120 mgまで) |
ブナゾシン | デタントール | 高血圧 褐色細胞腫 | 1日3回、1回 0.5mgから (1日 6 mgまで) |
プラゾシン | ミニプレス | 高血圧 前立腺肥大 | 高血圧に対して 1日2-3回、1回 0.5mgから (1日 6 mgまで) |
テラゾシン | バソメット | 高血圧 前立腺肥大 褐色細胞腫 | 高血圧に対して 1日2回、1回 0.25mgから (1日 4 mgまで) |